壁に発生した「クラック(ひび割れ)」の対応事例を紹介します。
今回取り上げる事例は、事前にクラックを確認しており、再びクラックが発生しないように下地処理しました。にもかかわらず、再度クラックが発生しました。
直接的な原因は壁紙のノリです。乾いた壁にノリの水分が染み込むことで、下地の収縮が起きて、再度クラックが発生したと考えます。ただし、通常その程度のことでクラックが再発することはありません。
根本的な原因は他にあります。このページでは、クラックが再発する原因と対応方法を解説します。
クラックとは
クラックとは、壁に発生した「ひび割れ」のことです。クラックは石膏ボードの「つなぎ目」があるところに発生します。クラックが発生すること事態は、それほど珍しいことではありません。しかし、これを放置したまま壁紙を貼り替えても、きれいには仕上がりません。ですので、壁紙を貼る前にクラックを補修します。
通常は、クラックにメッシュテープを貼り、その上からパテを掛けて対応します。
「何故クラックが再発したのか」を考察
事前に下地処理していたにもかかわらず「何故クラックが再発したのか」を考察します。
「再発」なので、一歩踏み込んだ深い考察をしなければなりません。
まず、現状を確認することから始めます。現状は以下の通りです。
- この現場は中古マンションである。
- クラックが発生した場所のすぐ脇に引き戸がある。
通常は開き戸である方が自然です。このことから、開き戸を引き戸に変更した工事があったと推察できます。 - クラックが発生した場所に、壁の不陸がわずかにある。
このことから、不陸のある場所を境に壁を増設したことが推察できます。
以上のことから、以前の所有者が介護リフォームを行ったと推察できます。そして、その工事をしたリフォーム屋が「場当たり的な仕事をした。」と仮説を立てました。
補足すると、その工事をしたリフォーム屋は「壁を付け足しただけである。」「既存の壁と増設した壁の接合が不完全であった。」と言うレベルの低い工事をしたことが推察できます。
以上の仮説が正しいとすれば、事前にクラックを補修したにもかかわらず、再びクラック発生したという事態に納得ができます。
クラックが発生したメカニズム
今回の場合、クラックが発生したメカニズムは、
- 引き戸の開け閉めの際に発生する振動が壁に伝わる。
- そして、既存の壁と増設した壁の境が正しく接合されていない。
- その結果、その振動が原因で接合部にクラックが発生してしまう。
という帰結にたどり着きます。
「袋貼り」で対応
クラックの再発を防ぐには、工事規模を大きくして「壁を全て作り直す」しか、私には考えられません。
しかし、それは現実的ではないので「袋貼り」と言う壁紙の施工方法で対応することにしました。
袋貼りをすることで、クラックが発生した場所に直接壁紙が貼り付かないので、きれいに仕上げることができます。
当然、お客さんには全て説明し、了承を得てから施工しています。
※「袋貼り」に関しては「『紙』で補修」で解説しています。
袋貼りという工法で対応しました。
ノリの湿気が残っている間は壁紙の表面が少しブヨブヨします。
ノリが乾くと壁紙の表面はパンと張り、きれいに仕上がります
後日談
「袋貼り」での対応は正解でした。当然のこととして、施工直後はきれいに収まったいましたが、時間が経ってどうなるのかが心配でした。
1年後に問題の場所を見る機会があったのですが、特に問題なく壁紙はきれいに収まっていました。
良かったです。
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